腎臓が悪くなると、もう治らないと聞く機会は多いと思います。本当にそうでしょうか?という質問に対する回答です。

 

 

腎臓は再生しない臓器

腎臓の尿を作り始めるところを糸球体と呼びます。この糸球体の数が減るような病気(腎炎や糖尿病による腎障害)となり、長いこと経過すると、腎臓の糸球体が潰れて使えなくなってしまいます。

キャプチャ

 

左が、正常な糸球体。右が潰れてしまって、もう働けない腎臓です。一度壊れて潰れてしまうと、隙間が潰れて、血液を通せなくなってしまい、尿が作られなくなってしまいます。

全体に、左の方が隙間が多くてきれいですよね。

 

そして、壊れた糸球体は治りません。全節性硬化と言われます。
こうやってこわすのは、腎炎などの病気や、ネフローゼなどの腎臓の病気、高血圧や糖尿病も腎臓を壊します。

 

ただ、この時に、正常→→→OUTになるわけではなくて、その中間地点があります。回復する可能性と、進行する可能性の両方がある時期です。
腎臓の機能が、1か月のスパンなどで、急激に悪くなっていくタイプなら、OUTの状態になる前に、治療で治すことも可能です。ある程度腎機能障害が残る場合もありますが、完全に近いくらい改善する場合もあります。
腎臓を悪くする原因の病気に対し、積極的治療を行うことで、抑えることができる腎臓の病気があります。これらは治療で炎症を抑え、高血圧とか糖尿病の腎臓悪化要素を除いていけば、ある程度の改善がみこまれます。

 

つまり、腎臓が悪くなると永久的に腎臓が悪い状態となるわけではなく、急に腎臓が悪くなった人・いわゆる急性腎不全の人や、お薬が原因の腎障害(薬剤性腎障害)や怪我でぶつけて腎臓が悪くなったような病気であれば治る可能性はあります。

 

ただし、治らない臓器というイメージのもととなっている慢性の腎障害に関しては、一度悪くなり時間がたってしまった腎臓は再生せず悪化していくことが多いため、再生を期待することは現時点では厳しいと言わざるをえません。