たんぱく質は私たちの体の筋肉や内臓、ホルモンや様々な酵素を形成する重要な成分で、体重の約20%ほどは、たんぱく質でできています。
たんぱく質はアミノ酸からできていて、たんぱく質の元は
アミノ酸です。
アミノ酸がペプチド結合してポリペプチドとなり、さらに三次元結合すると蛋白質になります。
自然界ではおよそ500種類のアミノ酸が発見されていますが、人の体ではこのうち20種類のアミノ酸の組み合わせで、10万種類にもおよぶ蛋白質が構成されています。
私たちが肉、魚などを食べると、その蛋白質は20種類のアミノ酸に分解され、私たちのカラダの中で再び、体の成分となる蛋白質として組み換えられます。
その際、12種のアミノ酸は他のアミノ酸から体内で合成して不足を補うことができますが、残る8種類は食事から摂取することが不可欠です。
このように体内で合成できないものを必須アミノ酸、
合成できるものを非必須アミノ酸とよんでいます。
ただ、非必須アミノ酸という呼称は誤解を与えやすいのですが、私たちの生命活動にとってむしろ不可欠であるからこそ、それが足らない状態にならないように体内での合成能力が進化の過程で保存されたものとも考えられます。
必須アミノ酸、非必須アミノ酸も、体の状態を維持していくために必要なものです。
栄養管理におけるアミノ酸の役割
栄養管理におけるアミノ酸管理の方法としては、
大きく2つがあります。
1つ目は
体のエネルギー(カロリー)を十分量補給することです。
人の体は、エネルギー不足に陥ると、たんぱく質を燃焼させて
エネルギーを作り出します。
なので、体の中のたんぱく質を消費してしまい、健常状態を維持するための組織を保てなくなったり、
投与したアミノ酸が全てエネルギーとして変換されてしまったりします。
2つ目は
アミノ酸を十分量補給することです。
体にストレスが加わった状態では、投与したアミノ酸を分解しやすい状態となっているため
充分量のアミノ酸が投与されないと、投与したアミノ酸はただのカロリー源として消費されてしまい、蛋白質として合成できないのです。
手術や感染など体にストレスがかかっていれば、組織の修復などのために必要なアミノ酸が不足してしまったりします。
これは、ストレス下での蛋白量の例ですが、
上記のようにストレスが大きい時の方が、たんぱく質の割合を増やす必要がある、ということになります。
非蛋白熱量/窒素比(non-protein calorie/nitrogen : NPC/N)
このように、重症の状態時では、
たんぱく質の比率を多くする必要があると言われています。
この比率として使われるのが、NPC/N比です。
これが、NPC/N比です。
アミノ酸は十分なエネルギー投与がなければ、いくら投与してもエネルギー源として消費されてしまい、蛋白質が合成されません。
つまり、アミノ酸が有効に蛋白質に合成されるために必要な指標として、必要エネルギ-に対してどれくらいの窒素(=アミノ酸の量)を最低投与しなければいけないのかを表します。
例えば、特にストレスが大きくない状態では、この比が150~200、すなわちアミノ酸含有窒素量の150~200倍のエネルギ-があれば蛋白合成が順調に行われるということが証明されています。
ストレスが大きくなると、これを100くらいになります。
これを実際にどう使うかと言うと、
蛋白質は平均16%の窒素を含んでいるので、
体外に排出された窒素に100/16 (6.25:窒素係数)を掛けると体内で代謝された蛋白の量が推測することができ、NPC/N比が分かっているときは、アミノ酸をいくら入れたらどのくらい他のブドウ糖を入れたらいいかという目安とすることができます。
わかりにくいですね・・・。
ということで、実際にはこういうふうに計算します。
NPC/N比を150に設定した場合の計算方法を示します。
投与するカロリーを、2100kcalに設定したとします。
NPC/N比を150
投与するカロリーを、2100kcalに設定した場合
投与するタンパク量の量は、87.5gになります。
・・・と、慣れれば簡単なのですが、
実際には応用するまでに難しいことを考える必要があるため、
実際には体重とストレス状態で、蛋白をどれくらい入れるか
という指標で計算することも多いです。
けど、せっかくなので、練習してみて下さい。
アミノ酸投与時の注意点
アミノ酸の投与において化学反応に気をつける必要があります。
酸化反応:空気中の酸素、過酸化水素水やビタミン剤に含まれる酸化剤などと反応して、システインやトリプトファンなどのアミノ酸が変化します。
ビタミン剤と一緒に投与すると変化してしまうことがあるので、注意しましょう。
メイラード反応: アミノ酸と糖が反応して、メイラード化合物を生成し、褐色化することです。そのため、アミノ酸と糖を別々のダブルバックにするか、pHを低く調整してあります。
まとめ
ストレスの高い状態では、蛋白が消費されやすく
またアミノ酸を投与する量としても、有効利用するためには
ストレスが大きいほどたくさんの量を投与する必要があります。
同時に、有効利用するために十分量のカロリーを投与する必要もあります。
タンパク量を決める、ということは確かに少し難易度が上がりますが
ゼヒ取り組んでいただきたいと思います。
栄養における蛋白・アミノ酸の投与方法・考え方でした。