栄養管理を行う上で、可能な限り
消化管から栄養をいれることが推奨されます。

食べられれば、食事として
食べられなければ、経管栄養として
栄養摂取をしていけるよう、考えましょう。

このページでは、経管栄養が推奨される、
その理由につき、経管栄養の利点も含め解説します。


消化管の機能

消化管の機能は、体が「良い状態を保つ」ために様々な機能があります。
消化管の機能としては、こういったものがあります。

●栄養素を消化・吸収すること
●ホルモンやペプチドを分泌すること
●腸管関連リンパ組織(GALT)から、免疫グロブリンという免疫物質を出すこと(免疫の機能)
●分泌型IgAとムチンという成分をだし、腸内の病原菌が体に入ってこないようにバリアを張っている(バリアの機能)
●臓器内基質の流動を仲介すること。

などです。

腸は、人の体の中にありますが、外から摂取したものの初めの通り道です。
そのため、外から来た病原菌とはじめに戦う場所でもあります。

これらのように様々な機能があるので、
食べない状態が続いてこれらの機能が落ちると、
回復が遅れたり全身状態が悪くなってしまいます。


逆に、重症患者さんに36時間以内に腸管栄養を再開すると、
死亡率の低下がみられるなど、科学的にも照明されています。

Bacterial translocation

腸をずっと使っていない状態が続くと
腸の粘膜が痛み、腸の中にいる細菌が体中にめぐってくる現象を
Bacterial translocationと呼びます。

なぜこれが起こるかというと、
腸を使わないことにより、下記の変化が起こるためと言われています。

●腸の粘膜が萎縮し、バリア機能の低下または喪失
●細菌数が異常に増える
●患者さんの免疫力が低下する
腸粘膜

上から下のように、絶食により腸の粘膜は萎縮します。
そこで菌が繁殖し、萎縮した粘膜から菌が体に侵入してきてしまいます。

かつ、腸には、体の外からのバイキンなどに対して体を守る装置がたくさんあるのですが、その機能が絶食状態が続くと、落ちてしまいます。

経腸栄養・腸管栄養の利点まとめ

点滴と比較した、腸管を使った栄養の利点として
●病気の際に、点滴で起きる合併症を予防できる
●ストレスでの潰瘍予防効果
●腸の免疫を保つことが出来る
●消化管の機能(吸収・免疫・バリア等)を維持する

ことができるので、可能な限り消化管から
栄養を取るように心がけましょう。