せん妄がなぜ悪いのか

せん妄の期間と、死亡率との間には、

有意に関連がある、と言われています。

 

上の表は

Days of delirium are associatted with 1-year mortality

in an older intensive care unit population.Am J RCCM 2009

の論文で、せん妄になっている日数が多いほど、

その後の死亡率が高くなる、という論文です。

 

また、せん妄になった後に、認知症になるリスクも高いと言われています。

こういった比較試験だけでなく、

実際の病院の場面でも、確かに悪いだろうと感じる要素についてお話します

 

 

せん妄の状態で動いてしまう。

意識がはっきりしておらず、寝ぼけたような状態になるので、

人工呼吸器の管や、尿のバルーン、点滴などを

自分で寝ぼけて抜いてしまう、ということがあります。

そうすると、病院としてはすごく問題になるわけですね。。。

管理が足らないのでは、という指摘になる例があるので。

また、ふらついて歩き回り、転んでしまう、ということも起こります。

 

そうすると、選択肢としては

1.薬で寝かせる

2.家族の方に24時間見張ってもらう

3.誰かが24時間見張る

4.抜くのは仕方がないものと考える

5.抑制のベルトや手袋を付ける

という形になると思いますが、4.抜くのが仕方がないと考える

という選択が現実的にはムズカシイです。

そして、3.病院で24時間見張る、というのも難しいです。

 

そうすると、家族が24時間見張るというものはどうか、となりますが

これも実際には難しい。

 

そうすると、薬で寝かせるか、手袋やベルトで抑制する、とならざるを得ず

そうすると、認知症や、体の筋力が衰えてしまうこととなり

そのまま弱っていってしまいます。

 

なので、その後の死亡率も高くなってしまいます。

 

転んでも仕方ないものとして、抑制をなるべくしない方が

体は弱りにくいとは思いますが、それを許される文化ではなく、

なかなか難しいところです。

 

なので、なるべくせん妄にならないように予防し、

出来る範囲で、リハビリや体を動かしたりということを出来るように

頑張るのが、現実的なところ、となります!

 

 

高齢者のせん妄について、まとめてみました。

せん妄とは何ですか?ぼけと違うの?

せん妄になると、何がいけないの?

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せん妄の評価の仕方は?家族の方でも出来るcheck項目

せん妄の治療方法

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