低体温症とは
深部体温が35℃以下の状態と定義されます。
つまり、深部体温測らないと判定できません。
■軽症(mild ) 32℃~35℃
■中等症(moderate) 28℃~32℃
■重症(severe) 28℃以下
低体温症の分類
①偶発的低体温症
低温環境曝露によるもの
②内因性低体温症
・神経性体温調節異常
視床下部障害・自律神経障害などにより、体温調節能力が低下するため起きる
・熱産生に関わる代謝内分泌異常
低血糖・副腎不全・下垂体機能低下・甲状腺機能低下
・皮膚異常からの熱喪失
熱傷・紅皮症など
③Controlled Hypothermia (いわゆる人工冬眠)
心肺停止蘇生後患者の低体温療法など
低体温症の症状・病態
中等症~重症の低体温症では、以下のような状態となります。
■循環器系
・徐脈・心拍出量低下
・伝導系障害・不整脈出現(心房細動が起こりやすい。)
・30℃以下では心筋被刺激性亢進
・心室細動の危険性があがる
■呼吸器系
・呼吸数低下・無呼吸
・気道分泌増加・繊毛運動低下・咳反射消失
→誤嚥・肺炎合併のリスクがあがる
・重症低体温ではARDSの発生
■中枢神経系
・1℃低下毎に脳酸素消費量10%低下する
・31.7℃以下で意識レベルが低下すると言われている。
■腎・泌尿器系
・寒冷刺激により利尿 低体温の多くは脱水を伴っている。
⇒加温した輸液のメリットはここにもある。
■代謝系
インスリン分泌低下→高血糖のリスク
低体温症の患者さんに出会ったら
・衣類が濡れているときは脱がす、乾いた毛布で保温
・仰臥位にする、急な体位変換を避ける
・モニタリング・深部体温測定
も大事ですが、まずは心臓が動いているかどうかを確認します。
脈が触れなくても、心臓が動いており、末梢の血管が締まっており循環動態は保たれているケースもあります。
ただし、低体温から心静止、心室細動を合併していれば直ちにCPR開始が必要となります。
低体温で救急車来院などの場合、
環境で低体温となっていると考えられるシチュエーションでも、
その環境に至った原因(たとえば脳出血で倒れ動けなくなったなど)
を必ず検索する必要があります。
また、よくわからない低血糖を見たら、必ず
敗血症・副腎不全の合併がないか頭にとどめましょう。
低体温症59例中24(41%)が重症感染症が原因となっており、かつ9例が入院時診断出来ていなかった、という報告もあります。
原因検索をしながら、復温を行います。
低体温の復温方法
①加温した輸液(43度):復温の効果は1Lで0.14~0.33℃、
②加温した酸素(42~46度):0.5℃程度、合併症が少ない
③再加温療法
■Passive external rewarming
保温(毛布)
②Active external rewarming
表面加温(電気毛布・ヒーター)
③Active internal rewarming
中心加温
(胸腔洗浄・開胸縦隔洗浄・腹腔洗浄・胃洗浄・膀胱洗浄)
低体温治療の復温率