ヒトの腎臓に比べたら人工腎臓(血液透析のことでしょうか?)は性能が劣るんだよと言われました。
実際に腎臓の代わりとしては弱いのでしょうか?
という質問をいただいたのでお答えします。
結論からお話しすると、血液透析は進歩してきていますが、腎臓の役割を完全に果たしているわけではありません。ですので、血液透析の方と腎臓が正常な方で比べると、血液透析では完全に追いついていないのが現状です。
よく、ホルモンを分泌したり、ミネラルを吸収したりすることができないのでは?と質問されることがあります。
確かに、赤血球を作る、「エリスロポエチン」という名前のホルモンを作ることができなくなってきます。しかしこれは点滴や注射で補うことができます。
またミネラルのバランスも、ある程度透析で数値は調整することができます。しかし、カルシウムやリンといった、調節のために複雑なメカニズムが必要なものに対しては、なかなか調節が難しいことがあります。ただしこれも薬が発達してきたので、数値はある程度調整できる様になってきました。
しかし、まだ数値だけでは表せないような微量な「何か」が不足していると言われていて、透析の方は感染症にかかりやすくなったり、合併症が多いと言われているのは事実です。
原因はいくつもあると考えられていますが、そのうちの1つに、透析の時間の問題があげられています。人の腎臓が24時間かける7日かけて行う仕事を、4時間×3日に集約するので、どうしても透析の間と間で老廃物が蓄積したり、短時間で抜けきれないのでは、と考えられています。
HOME HDといって、家庭で長時間やる、毎日やるという方法や、ハイブリッド透析といって、腹膜透析と血液透析を合わせて、このタイムラグを埋めるという方法もないわけではないことをご存知でしょうか?こういった方法では、予後が良いのでは、という示唆もされており、短時間透析での限界の1つが時間であることを示唆しているかもしれません。
ただし、HOME HDもハイブリッドも、長期間自分で透析をしなければいけないことなど、メリットばかりではありません。ただし、透析の性能が上がっても埋められないギャップを少し埋めうる手段かもしれません。