ネフローゼ症候群で、ステロイドを1日置きに飲んでいるのか、2日に1回で飲んでいるのかで違いがあるのか?という質問をいただいたことがありますのでお答えします。
A答えは、病気や状態によっても違う。
まず前提として、ネフローゼ症候群と一口にいっても、たくさんの種類の病気があることを知っておいてください。
具体的には、微小変化型・膜性腎症・巣状糸球体硬化症をはじめとして、ネフローゼ症候群と呼ばれる状態でも原疾患によっても病気の将来の腎臓の機能や、腎不全になる確率などが異なっているということがあります。そして、同じ膜性腎症でも、蛋白尿が多かったり浮腫や血清のALB(アルブミン)の値が低い場合に治療に難渋するなど、数値にしきれない病気の強弱があります。
それを踏まえたうえで、治療を決めるのは主治医と患者さん本人です。そのため、心配があれば主治医、ないしセカンドオピニオンで直接聞くのが良いでしょう。
さて、ではネフローゼ症候群で、ステロイドを1日置きに飲んでいるのか、2日に1回で飲んでいるのかで違いがあるのか?という話題について、そういう方法があるのか、違いがあるのかという一般論の話をさせていただきますと、2日に1回という方法は確かにあります。
Adult Minimal-Change Disease: Clinical Characteristics, Treatment, and Outcomesというタイトルの論文が2007年に出されており、少し古い論文ですが、ステロイド治療による微小変化型ネフローゼ症候群の治療の差(88人の患者を対象に、1日1回を65人、2日に1回を23人)で比較した論文があります。Clin J Am Soc Nephrol 2: 445-453, 2007で見ることができます。(これは腎臓の領域ではかなり権威のある雑誌と言われています)。
治療の有効性
再発の確率
これらは、同等であったとされています。
また、筆者らはこの中で、
the use of alternate-day therapy may have real advantages over daily steroids in terms of toxicity, because there may be less suppression of basal cortisol levels and fewer potential adverse effects, including cosmetic consequences
と述べています。
つまり、2日に1回の治療は、もともと副腎抑制や外見(ニキビやムーンフェイスなど)の特にムーンフェイスの出現率が低いとされアドバンテージのある治療である。と述べています。
これは一般に言われていることで、2日に1回の治療のほうが、副作用は少ない代わりにやや効果は劣る可能性がある、ということです。ここで冒頭に戻るのですが、ネフローゼ症候群で、ステロイドを1日置きに飲んでいるのか、2日に1回で飲んでいるのかで違いがあるのか?ということですが、副作用が減る可能性と、治療がやや弱まる(論文によっては同等という報告もあるうえで)可能性を天秤にかけ、投与量を決定している。といことです。病気や病勢によって変えているでしょう。
(英語が混じるとわかりにくい、というお言葉もいただくこともあるのですが、意見の根拠となる部分はどうしても海外の雑誌(英語)での報告由来が多いため、正確な情報としては乗せたほうが良いように思っていますので載せています。)