大柴胡湯の効果・適応症

大柴胡湯は、体力(胃腸)が比較的ある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなどを伴う人の次の症状に適しています。
胆石症、胆のう炎、黄疸、肝機能障害、高血圧症、脳溢血、じんましん、胃酸過多症、急性胃腸カタル、悪心、嘔吐、食欲不振、痔核、糖尿病、ノイローゼ、不眠症。
成人では、1日に7.5gを2~3回に分割して、食前または食間(食後2時間)に水、または白湯でのむか、またはお湯に溶かして飲みます。

 

 

内科系疾患への大柴胡湯の効果

筋肉質でがっちりとした体格の人に用いていきます。慢性肝炎でよく用いられる小柴胡湯の適応者で、胆石や胆嚢炎などで腹痛を伴う場合、不眠などの精神症状を呈する例に用いられます。

 

体質改善や、随伴症状の軽減を目標に、肝機能障害、高血圧症、糖尿病、習慣性便秘などに長期的にも使用されます。
類似処方との使い分けで見ると、
大柴胡湯と使用目標が似ているものには、小柴胡湯、四逆散、柴胡加竜骨牡蠣湯、柴胡桂枝湯があります。
体力・腹力ともに中程度で症状がそこまで強くなく、便秘がない場合は小柴胡湯が適し、便秘がないが腹直筋が緊張し、肩や首、背中に凝りを伴う場合は四逆散が適しています。
体力・腹力ともに中程度~やや低下していて腹直筋が緊張し、頭痛や関節痛、のぼせなどを伴い、便秘がない場合には柴胡桂枝湯が適しています。
症状が似ているものの、腹部大動脈の拍動を感じ、不安・不眠などの精神神経症状を伴う場合には、柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。

 

 

食欲不振・痔核などへの大柴胡湯の効果

筋肉質でがっちりとした体格の人に用いていきます。
類似処方との使い分けで見ると、
食欲不振では、比較的体力のあるもので、大柴胡湯は上腹部が張ってつっかえ感が強く便秘傾向のある場合に適しています。
そのほかは、体力が低下傾向にある場合に用いられる方剤がおおく、食欲不振に加えて気力低下が著しい場合は六君子湯が適しており、平素は小柴胡湯を用いるような例で元気がなく食欲が失われている場合は補中益気湯が適しています。
病後などで食欲がなく、気力が低下して貧血傾向が見られる場合は十全大補湯を、それに加えて不安や健忘などの精神機能の失調が見られる場合は人参養栄湯が適しています。

 

痔核に対しては、大柴胡湯は比較的体力のある人の炎症と便秘が加わった痔核に使用され、構成生薬の黄芩、芍薬、大黄がなどが抗炎症作用を発揮します。
軽度の便秘傾向の人の痔の第一選択には、乙字湯を使用します。
症状が顕著で体力が充実した便秘がある場合には大黄牡丹皮湯、のぼせ傾向があって下腹部に圧痛がある場合は桂枝茯苓丸が適しています。
体力が低下している場合では、出血がみられる場合は、脱肛の傾向がある場合は、痛みが激しいときは当帰中建湯、倦怠感が強い場合は補中益気湯、出血が見られるときには芎帰膠艾湯が適しています。

 

 

大柴胡湯の副作用・証が合わない場合の症状

副作用
大柴胡湯は、間質性肺炎が生じる可能性があります。
その初期症状である発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこととあります。
この初期症状を感じるときには、速やかに大柴胡湯の服用を中止して、ただちに医師へ連絡するということを覚えている必要があります。
肝機能障害や黄疸が現れることがあります。その他、過敏症、食欲不振、下痢、腹痛などが起こる可能性があります。
大柴胡湯に含まれる大黄には、子宮収縮作用があり、早流産の危険があることから、妊娠・妊娠の可能性のある婦人には不適になります。また、授乳中の婦人に使う場合は、母乳中に移行して乳児の下痢を起こす可能性があるため、注意が必要です。

 

 

証に合わない場合
大黄、当帰が含まれているため、食欲不振や悪心、下痢などの可能性があるため、著しく胃腸が虚弱だったり、食欲不振がある場合は注意が必要です。
大黄が含まれているため、下痢・軟便がある場合、悪化する恐れがあります。

 

 

大柴胡湯の生薬の組み合わせと効能

柴胡(サイコ)、半夏(ハンゲ)、黄芩(オウゴン)、芍薬(シャクヤク)、大棗(タイソウ)、枳実(キジツ)、生姜(ショウキョウ)、大黄(ダイオウ)の8種で構成されており、柴胡を主薬とした柴胡剤の一つです。
肝臓における脂質代謝改善作用や脂質過酸化抑制作用があり、肝障害抑制作用が認められています。胆石形成抑制作用や抗アレルギー作用もあります。
肝機能に働く生薬としては、柴胡や黄芩、抗アレルギー作用を持つ生薬には枳実や大棗、吐き気を抑える働きがある生薬には、半夏や黄芩があります。
脂質代謝を改善していくことで、高脂血症や肥満などに良い影響をもたらします。
胆石に対しては、腸でのコレステロール吸収抑制、肝でのコレステロール合成抑制に加えて、胆汁中のコレステロールも低下させ胆汁酸を増加させることで、胆石形成を抑制的に作用していると言われています。。
肝障害に対しては、活性酸素を分解する酵素を介して活性酸素産生を抑制したり、細胞膜を安定化させていくことで肝障害を予防していく効果があることが分かっています。

 

 

大柴胡湯のまとめ

大柴胡湯は、市販でも多く売られています。市販の大柴胡湯では、脂質の代謝を改善して脂質吸収を抑えて肥満を改善するというのが、主な効果として販売されています。
医療用の大柴胡湯の場合は、使用上の注意の説明が何らかの形であると思われます。しかし、市販品を使用する場合は、自分で読むことが求められるでしょう。使用の際には、柴胡剤の特有の副作用の初期症状に注意しながら使用してほしいものです。