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五苓散の効果・適応症
五苓散は、口渇、尿量減少しつつある、次の状態に使用されます。
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病
成人では、1日に7.5gを2~3回に分割して、食前または食間(食後2時間)に水、または白湯でのむか、またはお湯に溶かして飲みます。
水代謝異常の諸症状への五苓散の効果
五苓散は、体力の有無を問わずに使用できる方剤となっています。とても応用範囲が広く、急性症状を呈する感染性胃腸炎をはじめとして、頭痛やめまいなどにも使われるので、診療の場面で処方されることが多い処方となっています。
五苓散は水分に対しての代謝薬とも言われており、水滞・水毒という一種の水代謝異常に伴う諸症状の改善に効果があり、脳浮腫や慢性硬膜下血腫、脳脊髄液減少症にも有効であることが分かって使用されています。
作用機序については、アクアポリンという細胞の水の調整を行う介した水分代謝調節のメカニズムが発見され、そのアクアポリンを阻害することがわかりました。
水分代謝に対しては、利尿剤のフロセミドと比較した試験においては、フロセミドは浮腫状態時でも脱水状態時でも尿量を増加させるのに対して、五苓散は浮腫状態時でのみ尿量を増やすということが示されました。
類似処方との使い分けとしては、構成生薬5種のうち沢瀉と猪苓以外の3つが共通している苓桂朮甘湯は、症状が類似しているものの、口渇や嘔吐が顕著でない場合に用います。
猪苓湯は、使用目標が似ているものの、排尿痛や排尿不快感などを伴う場合に適しています。症状などは類似するものの肝機能低下を伴う場合は茵蔯五苓散が適しています。
口渇、尿量減少、浮腫、悪心・嘔吐などは同様だが肋骨弓下部の抵抗・圧痛がある場合は柴苓湯が適しています。
五苓散の副作用・証が合わない場合の症状
副作用
五苓散は、過敏症が起こる可能性があります。発疹、発赤、そう痒などがあらわれた場合には、使用を中止してください。また肝機能を表す血液検査値の異常が見られることがあるため、その場合は使用を中止してください。
証に合わない場合
五苓散はどの証でも用いることができます。小児に用いる場合、吐かせないようにするために温湯に溶いて少し冷ましてから飲ませるとよいと言われています。
他の漢方製剤を併用する場合は、含有生薬の重複に注意が必要です。
五苓散の生薬の組み合わせ、なぜその生薬が選ばれているか
沢瀉(タクシャ)、蒼朮(ソウジュツ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)の5種で構成されており、体内における水分の分布を整える効果がある処方で、水毒という水分の分布のアンバランスにより生じる病態やそれが原因で起こる症状に効果があります。
構成生薬のうち、沢瀉、猪苓、茯苓は利尿効果が認められており、蒼朮にも利尿効果があります。桂皮は、発汗作用、神経系の働きを調節し、他薬の作用を調整することで効果を発揮していると考えられてます。
なお、ツムラの五苓散の場合は、蒼朮を使用していますが、メーカーによって白朮を使用する場合があります。区別としては、蒼朮は利尿、発汗促進、健胃整腸、鎮痛剤として使用され、白朮は健胃整腸、利尿などを目標に使われます。白朮の方が胃腸によく、蒼朮では発汗、抗痙攣など神経系の作用が強くなると言われています。
五苓散のまとめ
五苓散は、水分のアンバランスを整える処方として浮腫状態では利尿作用、脱水状態では抗利尿作用を発揮する利水薬として古くから使用されてきました。めまいや、むくみ、二日酔いなど身近な症状から、現在では脳浮腫や慢性硬膜下血腫に対しての効果も期待されています。
それだけでなく、下痢や嘔吐の症状が出る感染性胃腸炎、気圧変化で起きるような頭痛、高山病の予防にも効果が期待されているようです。胃腸の強さに影響されない五苓散は薬局でも手軽に購入することができる処方です。相談の上、上手に使用してほしいと思います。