おたふく風邪とは、正式名称を流行性耳下腺炎といいます。
ムンプスウイルスの飛沫感染(飛沫感染とは、咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染することを言います。飛沫は1メートルくらい飛んでから落下しますので通常は1~2メートル以内の至近距離で飛沫を浴びることで感染します。)あるいは接触感染によって伝播される感染症です。

 
日本では3〜6歳での罹患が多くなっていますが、成人の罹患も珍しくありません。

 
症状としては、18日前後の潜伏期を経て発熱(無症状例もあります)や食欲減退などの前駆症状から始まって、続いておたふく風邪の約1/3は不顕正感染(感染しても症状が発症せず、自然に治癒してしまうこと)です。

 

 

子供のおたふく風邪の症状

熱はピーク時には38度以上に達することもあります。
発熱時は免疫応答している状態ですので、むやみに解熱剤で下げるのはよくありませんが、高熱で体力が奪われ衰弱状態になるようであれば適時解熱剤で熱を下げて上げるのもよいでしょう。

 

 

発疹

発疹はおたふくの主症状ではありませんが、ワクチンのアレルギーとして手足の一部に赤い発赤がでることはあります。

 

耳の痛み

唾液腺の腫れが典型的なおたふく風邪の主症状で、同時に耳の痛みが出ます。
腫れは左右同時に起きることもありますし、片側のみのこともあります。また、時期がずれて両側が腫れることもあります。
約1/4は片側だけの腫脹で、腫れは約1週間で消失します。

 

 

嘔吐

発熱が持続することで嘔吐を生じることもあります。

 

 

何日くらい続く

おたふく風邪は症状が出始めてから1週間から10日ほどで治癒します。
合併症が起こると、症状は継続あるいは、あらたな症状が出ます。

 

 

出席停止はある?

学校伝染病の第2種に指定されており、おたふく風邪と診断された学童は唾液腺の腫れが引くまで出席停止になります。

 

おたふく風邪自体は予後良好なのですが、以下のような様々な合併症があり注意が必要です。

 

・無菌性髄膜炎
合併症の中で最も多く、2〜3%にみられます。ムンプス髄膜炎は後遺症を残すことはまれですが、極稀に脳炎を起こし、死亡することもあります。
・睾丸炎
おたふく発症後1週間前後で39〜40度の高熱と睾丸の腫脹、疼痛が現れます。10歳以上の男子に多い男児に発症の可能性があります。発症率は15〜30%とされています。
・膵炎
数%に膵炎を発生します。突然の発熱、上腹部痛、悪心、嘔吐を認めた場合は膵炎の可能性を疑います。
・難聴
18000人に1人と発生率は低いものの難聴を合併することもあります。
ほとんどは片側ですが、両側が侵されると治療法が無く完全に聴力が失われてしまいます。

 

 

大人のおたふく風邪の症状

大人の場合も基本的には子供と同じ症状で、発熱、耳下腺炎です。
ただし、こどもの場合よりも症状が激しく出ることがあります。
それは、こどもよりも免疫力が強いので、ムンプスウイルスに感染すると、激しく免疫応答することで高熱が出たり、耳下腺の腫脹がひどくなることもあります。

 

 

子供がおたふく風邪になったら、大人にうつるのか

子供がおたふく風邪になれば、当然、大人にも感染の可能性はあります。

 

ただし、大人の場合は、過去のワクチン接種や、過去の感染などでムンプスウイルスに対する抗体を保有していることがありますので、その場合は感染を防げることはあります。

 

 

おたふく風邪の治療や対処方法

基本的には対症療法です。

ウイルス感染ですので、抗菌薬などの治療はできず、自身の免疫力で治癒させます。

 

あまりに高熱で体力が奪われる時は解熱剤などを使用しますが、安静、睡眠、栄養摂取、水分摂取をしっかり行うことで治療していきます。